《 従業員さんとの紛争 (個別労働紛争)解決の手順 》

 

村上社会保険労務士事務所は個別労働紛争を解決するお手伝いもさせて頂いています。その場合、当事務所は会社の責任者と出来る限り伴走します。当事務所が過去にお手伝いしたのは「残業代未払い」「解雇」「配置転換」「降格減給」「有期雇用契約の "雇止め"」「セクハラ」「パワハラ」「育児介護法違反」です。

 

従業員さんと紛争が起こった場合の概要(フロー)は、

 従業員さんが労働基準監督署(以下、労基署といいます)の総合労働相談コーナーに行くと、労基署で対応できない内容の紛争の場合は労働局雇用環境均等室に行くよう助言されます。

なお、稀にですが、従業員さんがユニオン(一人でも加入できる社外の労働組合)に加入し、突然にユニオンから団体交渉を申し込まれる場合もあります。団体交渉を申し込まれたとき、会社は特に慎重に対処することが必要です。そして更に稀ですが、突然に弁護士又は司法書士から書面が届くこともあり、この場合は冷静に書面で対応することが大切です。

 

-1 労基署で対応できる紛争(残業代・解雇予告手当未払い、年次有給休暇、労働安全衛生法違反など)の場合は、労基署が企業を調査し、指導し、是正勧告することで紛争の解決を図ります。この調査で労基官による指導又は是正命令を実行するためのお手伝いを村上社会保険労務士事務所では行っています。

 

-2 労基署で対応し難い紛争(解雇、退職金、男女差別、育児介護、処遇格差など)の場合は、労働局雇用環境均等室紛争調整委員会又は各県の労働委員会で従業員が「あっせん」の申込手続きを行います。

「あっせん」は裁判となることを防止するため、専門家を交えて「話し合いの場」を設けてくれる無料の公的サービスだと考えれば良いと思います。「あっせん」に会社が参加することは法的義務ではありませんが、紛争を早期に解決するためには参加されることをお勧めします。

 

  労働局雇用環境均等室の紛争調整委員会(又は県の労働委員会)から(a)「あっせん開催」に関する連絡が会社にあり、会社が参加する場合は後日に(b)あっせん開催予定日を調整する連絡があります。

当事務所にご依頼がある場合は、会社とミーティングさせて頂き、会社側の主張を記載した弁論書(答弁書)を作成/提出します。ただし、当事務所は「あっせん」の場では「代理人」ではなく「補佐人」として出席し、必ず会社の責任者の人に同席して頂きます(和解金額の判断を必要とするため)

 

 「あっせん」は原則1回(約2時間~3時間)限りです。ただし、県労働委員会主催の「あっせん」で内容がかなり複雑だった為、34回開催されたこともありました。

 

 「あっせん」を終了する前に専門家(あっせん委員)から和解案が提案されます。その和解()で承諾するか否かはそれぞれの自由です。ただし、和解()に応じると、その和解は裁判の判決に匹敵する拘束力を持ちますから慎重に判断することが大切ですが、同じ争点に関して裁判に至ることは無いので安心できます。

 

 「あっせん」での和解が成立せず、または「あっせん」の申込手続きをせず、いきなり裁判となることもあります。現行法では社会保険労務士は裁判において代理人になれませんが、会社からご依頼があれば弁護士と会社の間で情報・資料の整理・収集と助言とを行い、会社側の弁護士が活動しやすい環境を創るお手伝いをさせて頂いています。裁判は「地裁による普通裁判」以外に「労働審判」があり、労働審判の場合は3回で結審しますので時間との闘いとなります。

 

守秘義務がある為、具体的な事例はお伝えできませんが、以上がお手伝いする紛争解決の手順です。