あるNPO法人の理事さんからの相談

あるNPO(非営利)法人の理事さんから相談をうけました。

NPOと言えども従業員さんがいる訳ですから、労働諸法の対象となります。そこでお話しをお伺いし始めたのですが、最初の頃は「事務員さん達がいかに働いていないか」を訴えかける内容でした。しかし、何時まで経っても、その事実を踏まえて今後はどのようにしたいのかを話されません。そこで、コーチングを開始し、その人の相談目的を探ることにしました。

初対面の人からご相談を受けるときには、事実がどうであるかということ以外に、その人がどう解決したいのかも出来るだけ正しく聞き取る必要があります。これを間違えると、折角、問題は解決したのに逆に恨まれてしまうことさえあります。そのためのコーチングです。

そうした処、お話しは従業員さんの勤務ぶりから外れて、理事会の運営の仕方等々に到りました。この時点で私から「あなたは、このNPOを自分が期待する水準を満たすNPOに活性化されたいのですネ?」と確認した処、その人の目的は「全くその通りです」ということになりました。

要するに、従業員さん達が働いていないと思うのは枝葉末節なことに過ぎず、NPO全体をその人なりに活性化させることが目的であることが明らかとなったのです。

こうなると、社会保険労務士の世界というよりもコンサルタントの世界です。しかし、私はこの分野は得意中の得意の分野です。PFドラッカーの名言、カーネギーの名言、2割8割の法則、鳥瞰すること、優先順位をつけることほか事例を交えながらお話しした処、徐々にその相談者は自らでどうすべきかを考え始められ、「〇〇〇してみようと思いますが、どう思われますか?」という発言をされ始めました。

ここまでくれば、この人のご相談内容の8割は解決したも同然で、あとは実行あるのみです。

PFドラッカー先生も「政府や非営利法人も民間企業にとっての利益目標のようなメルクマールを設けて、目的達成を図ることが必要である」と指摘されていますが、正に今回のご相談はこれに該当することだと考えました。

従業員さんと個別労働紛争を起こすことなく、また理事会が空中分解することなく、このNPOが活性化され目的を達成されることを祈るばかりです。

最後に、この人から「社会保険労務士というのは事務代行だけをするのかと思っていたら、こんなことまで相談にのってくれるのですネ!! 誰に相談すれば良いのかが分からず困っていたので大変感謝します」と言われたのでホッとしました。