残業代解決の真因はどこにあるのか?

ある会社がM&A(吸収合併)をして、他の会社から一部の支店を従業員込みで引き継ぎました。

M&Aをして約3カ月が経過していました。このタイミングで総務部責任者から「残業代がかなりかかっている」「当初の予算見積もりで残業代を見込んではいるが、総人件費が予算をオーバーしてしまっている」のでその解決策を相談したいということでした。

私は、総務責任者から現状の概要をお聴きして、総務責任者の頭の中で

①残業代(残業時間数)が当初の見込みよりも多いこと

②当初予算と比較して、正社員数は多く、その分パートは少なく雇用していること

の2点がゴチャゴチャに把握されていることに気づいたので、まずはそれを整理するお手伝いを簡単にしました。

そして、仕事のやり方が従来企業のやり方のまま引き継がれていることを指摘し、各自の役割と責任を明確にして無駄な仕事を削り取り、新たな仕事を付加することを通じて、残業時間数を削減することを勧めました(仕事の効率化)。そして、この過程を通じて、この変革についてこれない従業員は退職してもらうか労働条件を変更する話し合いをして、社員数を削減しパートを増やすように勧めました。

仕事の効率化をして売上と利益が増えれば一番良いのですが、この業種は請負業のため、仕事の効率化を図ると経費節減にはなっても売上増進にはなり難いので、利益増進にはなっても売上増進にはならないのです。

ただし、従来の従業員をそのまま引き継ぐM&Aをやっていますから、仕事のやり方を変えさせるのは段階的に行うことが大切です。人間には過去の慣習がありますから、一気に強制して一新させようとしても、それが体と頭に馴染むまでには時間が必要なことが多いのです。

担当の責任者は、それまで自分の頭の中でゴチャゴチャになっていたことを私が論理的に整理した段階で「為すべきこと」に気づかれたようでした。真因を見つけ出すためにロジックツリーをつくって整理してみることが大切です。慣れるとロジックツリーは頭の中で瞬時に出来上がりますが、ロジックツリーに慣れるまでは紙に書き出し「モレ」「ダブリ」「飛躍」を防ぐようにする方が良いようです。