職務分担と中堅幹部教育

歴史ある広島の中堅企業(160人規模)の総務部長から、職務分担を明確にして会社業務が漏れなく円滑に行えるようにしたいという相談を受けました。歴史ある企業だけに、過去の延長線上で仕事の役割・責任分担が暗黙裡に決められていて、社長が期待する役割・責任と現場の役割・責任が一致せず、役割が不明確であったり、責任の所在が不明確である結果、仕事で思わぬ支障をきたすことがあるらしいのです。

総務部長は既に社長から社長がそれぞれの役職地位者(部長や課長ほか)にどんなことを期待しているかを聞き出していました。しかし、その内容は非常に抽象的で具体性に欠けるものでした。

色々なお話しを総務部長からお聴きして、

(a)役職地位者の役割と責任をできるだけ具体的に記述すること (あるべき姿の見える化)

(b)現状と①とを比較して、不足する部分を教育訓練すること

が今回の目的であることが分かりました。

そこで、私は

①各自がいま行っている全ての仕事と作業を"マイタスク表"に書き出してもらうこと (何に時間を取られているかを見える化する)

②それをポストウィットに転記して、ブレーンストーミング流に関係者全員で纏め上げ、ロジックツリーを創り上げること(キーワードは「何のために?」)

③そのロジックツリーと社長の考える各部課長の果たすべき役割と比較することで、漏れを見つけ出し埋めること

④③と同時に、仕事と作業の担当洗い直しをして組織の無駄を無くすること(筋肉質化)

⑤その上で、各自に欠けている能力を補うべく教育訓練を行う計画を組むこと(教育訓練)

をお勧めしました。

最終的には職掌規程が出来上がると考えますが、時代が大きく変わり続けていますから、歴史ある企業だけに昔しながらの職掌規程で現在のビジネス界を乗り切ろうとするのは無理であり、各自の役割と責任を再度明確にすることが大切であると思います。また、これを行わずに中堅幹部教育を実施しても、企業の実態にそぐわない教育となり、効果が期待でき難いと考えます。

この一連の会話の中で、私が「企業の重要な要素はヒト・モノ・カネ・情報であると言われます。しかし、モノやカネや情報を使うのはヒトですから、人財育成が一番大切なのです」とお話しした処、総務部長は偉く感動されていました。因みに、この総務部長は銀行出身のヒトです。