昨日の夕方に、ある会社の従業員(女性)さんから悲痛な叫びとも言える電話が入りました。
この会社とは約7年位前に事業再生(業績改善の対策相談)のお手伝いをして、それ以後は着かず離れずの状態でお付き合いをし、2年前に私が事業再生をお手伝いすることを諦めたのでそのことを実権者に伝えたいわく付の会社です。
その社員さんは私が経営助言するのを停止した後も一人で社内で鼓舞奮闘し、なんとか良い会社にしようと努力されていました。他の従業員さんは、とうの昔しに事業再生を諦めて、給与を貰えるだけもらって楽に仕事をして過ごそう、後のことは自分達は知らない、とタカをくくっていました。
社長は私が経営改善を提案しても、途中で止めてしまったり、そんなことが出来る筈がないといって困難なことを避けて従来通りのやり方を変えようとはしていませんでした。何故なら、社長の取り巻き連中が社長が子供のころから従業員だった人達で、この古参の人達が会社は赤字でじり貧の状態でも自分達のやり方を変えることを拒み、社長がどんなに正しいことをやり始めようとしてモミ消してしまい、自分達に不利な情報は社長の耳に届かないようにしてしまっていました。社長も社長で、自らが現場に出て現場の生の顧客の声を聴こうとしなかったのです。
その結果、社長は「裸の王様」の状態となっていました。この社長を「裸の王様」と比較すると、まだ「裸の王様」の方がマシです。「裸の王様」は最後には自分が裸であることに気づきましたが、この社長は気付こうとしない、あるいは気づくとその事実から逃げてしまうのです。
この状況下で電話してきた従業員さんは「昨年の夏に辞表を提出したのだが社長に慰留を懇願されたので恩返しのために退職を取りやめ頑張ってみたけど、他の従業員から嫌がらせをうけるようになり(その人一人が頑張ると他の従業員は自分達が手抜きしていることがバレてしまうので、その従業員が頑張れないようにしてしまう)、それでも我慢して頑張ってきたが昨年の12月中頃に息切れしてしまい、体調不良となり自宅で療養せざるを得なくなっていたそうなのです。その人の家族も退職するように勧めているそうなのです。
その上で、「どうしたら退職することができるでしょうか?」というご質問でした。
私も過去の経緯概要を知っていますし、この人は誠実で正義感が強く恩義を重んじる人ですから、そのような人が考え抜いた末の相談なので、余りこのようなアドバイスはしないのですが、「法的には辞表(退職願とは違う)を提出(郵送)して2週間を経過すればその辞表は有効となる」ことを伝え、具体的な手順を教授しました。そして通院(軽度の躁鬱症の懸念があるので)することを勧め、退職後の健康保険の手続き(任継か国保)も教授しました。
この体験を通じて私は良い勉強をしました。その会社の社長さんは決して悪い人ではないのですが、あまりにも現実を知らな過ぎ(古参従業員によって「裸の王様」にさせられている)、経営者失格の状態になっているのです。類似の事例が他社にもあります。厳しいようですが、社長に現実の会社の姿を見せること、理解させることが大切です。事業再生の手伝いをするとこのように反対派勢力の巻き返しはつきものですが、反対派に欲がなく、社長が現実を知ろうとしない場合には一番難しい状態に陥ってしまいます。
この会社の厄介なことは、社長自身が金持ちのつもりで私財を会社に投入したり兄弟からカネを借りて会社の赤字補てんをしているので、いつまでたっても社長が会社の実情に気づこうとしないのです。
社長に限らず、人のうえに立つ立場になったら「裸の王様」にはならないように注意したいものですネ!!
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