解雇は解雇

ある顧問先から「2月1日に採用した人が仕事を余りにも覚えないので本人に確認した処、痴呆症で通院していることがわかった。このままでは仕事を任せられないと判断した。採用後2週間以内であれば解雇が可能であると聞いたのだが・・・」というご相談がありました。

採用前から痴呆症で通院しており、入社面接時に心身の健康状態を会社が確認したときには正常であると返答しています(書面で記録してある)から、本人は入社時の面接で重要なことを虚偽申告していたことになります。

確かに採用後2週間以内であれば解雇予告手当を支払うことなく即日解雇することが労基法で認められています。しかし、これは解雇予告手当に関することであり、解雇は解雇に変わりありません。

問題は、この会社は助成金を頻繁に利用していることです。助成金を利用する際の要件として大半の助成金には「半年以内に解雇者がないなこと」ということがあります。そこで会社としては「本人の虚偽申告によるものであり、会社業務(ビル管理業)の必要性から止むを得ず解雇するのである(従業員本人の自責)から解雇として扱われないようにしたい」というのです。

しかし、解雇は解雇であり、労基法の定めは解雇予告手当の支払いを免責する定めに過ぎません。

取り敢えずは会社にその旨を電話で返答し、念のために広島ハローワークの職員に確認しました。その結果、やはり「本人を諭して本人が辞表を提出したのでなければ、理由の如何を問わず解雇は解雇として取り扱う」という返答がありました。