委任と使者の違い

昨日、ある顧問先で会社担当者から「村上さん、ハローワークに離職票手続きで行くついでにこの書類も出しといてエや!!」とある書類を渡されました。

その書類の内容を見ると雇用促進計画書です。これは計画的に従業員数を増加させると法人税を低減してくれるための書類で、法律的な権利義務が発生します。

そこで、私は「提出するだけなら貴方に代わって提出しますが、内容面に関して私は責任を持てませんから、ハローワークで何か質問されても貴方に直接電話をするようハローワークの担当者に伝えますヨ!! それでも良ければ預かりましょう」(代理人としてではなく使者としての提出)と伝えたうえで書類を預かりました。

そのうえでハローワークに提出した処、ハローワークの職員も社会保険労務士の欄に記名捺印をするよう私に指導しましたので、私は「代理人としてではなく使者として、ついでに預かった資料を届けただけだから内容に関して私は責任をもてません。そのため、社会保険労務士欄に署名捺印することは断ります」と伝え、疑問点や問題点があれば直接会社に電話して話しをするように伝えました。そうした処、案の定、ハローワークの担当官と会社担当者で電話でかなり揉めて、結局はハローワークが会社に直接に受理書類を返送することになりました。

私が仕事として行う業務は法律行為といって、会社から業務を受託すると法律上の権利と義務が発生します。近所の八百屋さんに大根を買いに行ってもらうのとは訳が違います。顧問先と親しくなると、この違いが会社の人にはわからないらしく、かと言って迂闊に断ると相手の感情を害したり、ビジネス・チャンスを潰してしまうことになります。

因みに、先日も見積書を提出したのに委任するのか否かの回答をしてこず期限が迫って催促せざるを得なくなった会社もあります。

私は普段から出来るだけ親しみのある姿で接することで会社の人が相談し易いように心掛けていますが、昔から「親しき仲にも礼儀(節度)あり」といい、一定の礼儀・節度は守りたいものです。