経営理念・経営方針に関する依頼

昨日は、経営者が世代交代しつつある企業から「経営理念の作り方を教えて貰いたい」というご依頼があったのでお伺いして来ました。

この会社は、広島で屈指の問屋さんで、分類上は大企業に分類される規模の会社です。

先代がご苦労されて今の規模と内容にされたのですが、流石の先代も高齢となったので、ご子息にバトンタッチされようとしているのです。先代もご子息も大変に優秀な方です。

今までは先代ご自身が陣頭指揮をされていましたから、経営理念・経営方針などなくても良かったのですが、会社を引き継ぐとなると流石の親子でも微妙に経営感覚の差があります。先代の会社に対する「思い入れ」を出来るだけ正しく次期経営者に伝承することで経営のブレを防ぐために経営理念が必要となったようです。

また、企業間競争が激化し、やり方や考え方が激変しつつある現在の経済環境の中で、顧客ニーズに的確に応えることができる自立した従業員を育てるためには、会社の存在目的を明文化し価値判断の基準を明確化するためにも経営理念・経営方針を明文化することが必要となります。

しかし、いままで陣頭指揮をされていた先代経営者に改まってそれらを訊いても、先代も中々答えられるものではありません。また、美辞褒句の経営理念をつくっても、それを会社内に浸透させなければ意味がありません。

そこで私は、先代と次期社長並びに経営幹部が一緒になって出来るだけ具体的な5カ年経営計画を創ることをお勧めしました。この計画を創る過程で、お互いに本音で具体的に話し合うことにより、お互いの頭の中にある価値判断基準を表出させ、相互に理解することを通じて、同時に先代の価値基準を理解して共有し、そこで表出化された価値基準を経営理念の根源とするやり方をお勧めしました。要するに5カ年計画は道具なのです。

「経営理念を創りたい」という希望と「5カ年計画を策定する」という現実がどう結びつくのか言葉では説明し難い面が多いのですが、5カ年計画をつくるときに互いに本音で話し会うことが大切なのです。但し、このときのコツはあります。私は実際に各社で今まで色々なやり方でやってきて、会社の価値判断基準を表出させ浸透せるにはこれが一番の早道であるという経験を私は踏んできています。

とは言うものの、以上のこととは別に、参考資料として経営理念・経営方針だけの創り方のマニュアルは進呈しています。