第4回大学連携特別講座

昨日の土曜日は、第3回大学連携特別講座に参加しました。

最初の講座のテーマは「イノベーション 北カリフォルニアの最近の視点」講師はサンフランシスコ州立大学 HYS Associates 渋谷ゆうじ(?) さまでした。

講義の大要は

イノベーションは日本語で「技術革新」と翻訳されてしまったから誤解されている点が多いが、(a)電車の中で新聞を広げて読む人がいなくなり、代わりにタブレットで新聞を読んでいる、(b)YouTubeを使えば色々なことができるようになった、(c)大学ではOnlineで宿題を出すようになった、(d)アイフォンを使ってカード決済ができるスクエア社の技術の普及等々、イノベーションは「身近に感じる課題をこう変えてやろう」から始まるものである。「良い技術があるからビジネスになる」のではなく、「みなさんの課題を解決できるからビジネスになる」のである。因みに、シリコンバレーは一昔前まではハイテク・イノベーションのメッカと言われていたが、今ではサンフランシスコ市がそのメッカになりつつある。この現象は、シリコンバレーのように非日常的・非歴史的な環境の中では日常的な課題を見つけ出すことは難しく、その課題を解決することができない為であろう。

イノベーションを敢えて分類すれば、社会の仕組み・やり方までも変えてしまうような大きなイノベーションと小さなイノベーションとがあり、大きなイノベーションを成功させるには大きなハードル(従来勢力の抵抗)を、小さなイノベーションで成功するには小さなハードルを越えなければならない。

イノベーションには「失敗」が不可欠である。失敗することを通じて、(a)人間が深まる(b)同志ができる、といったメリットもあるから、過去の失敗事例を短期と長期に分けて考えてみることが必要である。数々の失敗経験が更なるイノベーションを生み出すことにもなり得る。失敗を恐れていたり、失敗から逃げていると、大きな壁は越えられない。

ある新しい製品・サービスの提供が発端となり、その使い道をユーザーが独自に考え、更に新しい製品・サービスの需要が生まれることもある。そのため、イノベーションが新たなアイディアを巻き込み、思わぬ方向に拡大していくこともある。ただし、その方向が悪い方向に行く場合もあるので注意することが必要である。

最近のイノベーションが目指す方向は

(a)リアルタイム化することによって、見えなかったものを見えるようにしつつある

(b)限られた資源や情報を共有することで有効活用する傾向が顕著である(所有・専有型から共有・サービス利用型への移行)

(c)環境に配慮する傾向が顕著である

(d)ネットを利用して誰でも何でも見ることができるようになったことにより、民主化が進行しつつある

ここ数年間のイノベーションは、ハイテク一辺倒だったが、最近では(a)ヘルスケア(b)新しいエネルギー(c)教育の分野におけるイノベーションを指向する傾向が出ている。

こういった内容が講義でレクチャーされ、最後は「大昔、サンフランシスコが大震災で壊滅したときに、イタリア系のある銀行が庶民に対する銀行として再起し、庶民の生活とビジネスを支援した録画」をDVDで鑑賞しました。これによって、講師としては「イノベーションとは単に技術革新を意味するのではなく、日常の課題を解決することがイノベーションである」ことを教授したかったのではないかと私は考えます。受講中は講義内容が余りにも具体的・身近な事例ばかりだったので、講師の伝えたいということが中々理解できませんでしたが、一晩寝た後の早朝に講義資料を再読してみると、以上のようなことを講師は教授したかったのではないかと自分なりに頭の中を整理することができました。

第二講座のテーマは「のーけティングの実践と消費者行動」講師は東洋大学国際地域学部准教授の島川崇さまでした。

インターネットやブロードバントの普及に伴い、消費者購買行動に影響を及ぼすためには、消費者購買行動を

(A)注目させる→→(I)興味・関心を抱かせる→→(D)"欲しい"と思わせる→→(M)記憶し考える→→(A)購買する

というAIDMAの法則から

(A)注目させる→→(I)興味・関心を抱かせる→→(S)検索する・探す→→(A)購買する→→(S)購買後の満足・不満足の評価情報をネットで共有する

というAISASの法則に変える必要がある。

現在のユーザーの購買行動において、「(S)検索する・探す」の段階で→→「(S)購買後の満足・不満足の評価情報をネットで共有する」ことにより得た情報が多大な影響を及ぼすから、マーケティングの内容・やり方は大きく変化せざるを得ない。すなわち、購買後のアフターケアが大事で、"損した"と思わせないことが大切である。

その結果、今まさに起こりつつある現象としては

(a)市場シェア争いではなく、ロングテールの時代となりつつある

(b)ネットの普及に伴い、無料化(フリーミアム)の傾向が顕著になっている

(c)ネットをユーザーが活用して情報収集するようになった為、ステレスマーケティング(サクラ情報を提供)が一つのビジネスになりつつある

(d)偽装表示事件が発生しつつある

この現象を踏まえ、ユーザーが今後は何を「信頼」して製品・サービスを選択するのかを考え、企業としては自社の"ブランド(企業としての信頼性)"を維持することが大切であり、そのためには社会貢献をコストとして認識した企業行動ではなく、本気で社会貢献(社会の課題を解決する)を行っていかなければ生き残れなくなる。

以上のように講義をマトメることができるのではないかと思いますが、私としては上記③-(a)「シェア争いではなくロングテールの時代となりつつある」という部分がいま一つ十分に理解していないためか、「ロングテールの時代に対応する企業戦略を企画・実行する目的は、市場シェアを確保する為ではないのかナ?」と考えている次第です。

第三講座のテーマは「懇親」でした。この大学連携講座が始まって4回目を迎えましたが、この講座には色々な業種の色々な人(大半がサラリーマン)が参加しています。今までは、講義が終わると私も含めて直ぐに帰っていたので、どこの誰と一緒に勉強しているかもわからない状態でした。サテライト・スタジオ近くにある居酒屋さんに会場を移し、講師を交えての懇親会です。当日に知ったのですが、会場として選ばれた居酒屋さん"月あかり"は私の顧問契約先でした。幹事さんに「予め言ってくれれば、この会社の本社総務に価格交渉を含めてサービスを良くするように依頼できたのに」と言いたかったのですが、折角の幹事さんの努力とメンツを潰してはいけないので自重して言わないことにしました。参加したメンバーの中には色々な会社の人がいましたが(初めて名刺交換をしました)、中には今年大学に入学したばかりの18歳の女性もいらっしゃいました。私として当初は色々な会社の人とお話しをするつもりだったのですが、本日最初の講座の講師がサンフランシスコに在住している講師だったので、42年前にライオンズクラブの交換学生として約2週間ほど同市でホームステイしたときのことを思い出し、当時訪れた同市の店や名所の現状を懐かしく聴くことに時間を費やしてしましいました。

そして帰宅して思い出したのは、私が小学生だった頃に、私の母は夕食を作り置きして自分で食べるように指示をしたうえで、広島大学が主催する"市民講座"に参加していたこと(当時は今と違って電子レンジなどなかったので、小学生が造り置きされた夕食を温めるのは大変な作業だした)、たまに懇親会に参加すると言っていたこと等を思い出しました。気がついたら、自分も亡き母と同じようなことをしているものですネ!!当時の母が、市民大学やその懇親会から帰ってくると、気分転換でき、また新しい知識を習得できたためか活き活きとしていたことを覚えています。