20店舗の散髪屋さんと美容室を展開し、従業員数が約80名の会社の新しい給与体系と評価制度が出来上がりました。
急成長した会社で、今までは経験と勘に頼って給与を決め、人事評価もいい加減でした。
3月から検討し始め、会社からは超特急で仕上げてくれ!!との依頼がありましたが、いままでが今までだけに、現状を把握し、会社が考える"あるべき姿"を把握することが大変でした。私のつくる給与体系や評価制度は、どこかの書籍やコンサルタントの創ったものをそのまま当てはめるのではなく、その会社オリジナルのものを創り上げます。その為、"現状"と"あるべき姿"を会社側に畳みかけるように尋ねます。
従来は職務給を意識しながらも職能給も意識して決めていたらしく、その判断基準を探り当てる(社長の頭の中にはあった)のが大変でした。まずは社長と私との信頼関係を構築することを最優先として作業を開始した次第です。
そして、この過程で、散髪屋さんや美容室はどうしても"理容や美容に関する技能レベル"を優先するので、店長や幹部にマネジメントに対する意識が希薄であることも分かりました。そのため、過程の約半分を使って「職務要件書(技能以外に店長として為すべきこと、幹部としてなすべきことを記載したもの)」を慎重に創り上げ、現場でも使えるレベルまで具体化しました。その過程では組織構造の検討(不要な役職・職位は無いか? 必要な役職・職位は漏れていないか?)も検討しました。そして技能要件と職務要件とのウェイトを各職位ごとに検討しました。
評価基準に関しても色々検討しましたが、結局、現状を考えると、職務要件書に記載した項目で評価して貰い、新しい組織を定着させること、職人(技術者)としての意識と同時に組織人としての意識を養成していくことにしました。技能要件は従来から定めていましたので、取り敢えずは従来からの基準書をそのまま応用することにして、技能要件と職務要件の職位別ウェイトを仮決定しました。
各職位の賃金水準も、自由余地がかなり残る「〇〇職は金額×××円から△△△円」と賃金幅だけを決める方法と賃金テーブルを決め細部まで定める方法とを提示した処、社長が賃金テーブルで運用するやり方を選ばれたので、この会社の現状を踏まえて、また"あるべき姿"も踏まえた賃金テーブルを創り上げました。
普通は、ここまでの作業で約1年間をかけるのですが、この会社は超特急で仕上げることを要求していましたから約3カ月間で仕上げました。
その上で私は社長に「現在の貴社の店舗数は20店舗です。これを40店舗に増やす計画を具体的に創りましょう」と提案しました。この組織成長戦略の中で「人財の育成」が要となることは言うまでもないことですが、その人財を育てる一つの道具として今回決めた給与体系と評価制度を用い、今後不都合が生ずる都度、変更を加えてより一層この会社に適した給与体系と評価制度にしていく予定です。
私の経験から言うと、給与体系や評価制度を創ることは簡単なことです。しかし、それらをその会社に合ったように修正していく過程は大変な努力を必要とします。実は、これからが本番なのです。
そして今、この約3カ月の間、社長さんを初め幹部の人達は、私からの畳みかけるような質問と提案、そして宿題によくついてきて下さったものだと感謝しています。また、社長や幹部さん達にクレグレも注意したことは、①一部のコンサルや労働組合がいう様に"絶対評価"などを試みることはせず"相対評価"を貫くこと、②各項目の評価を点数化し、それを加重平均して全体評価しようなどとせず、会社への"貢献度"を考慮したSABCDランク評価で各ステップの評価を行うこと、の2点です。
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