組織はバランスを保ちながらシンプルな原則に従って存続している

昨日の土曜日は久しぶりに電話のあった会社でご相談を御聞きしていました。前期の決算はかなり良い決算内容となっていましたので、何の相談だろうかナ?と思いながらの訪問です。

社長からのお話しをお聴きしていて私が思い出したことは「2~3年前に人事考課制度を再構築していた最中に、急に社長が"要領は理解できたから、人事考課制度の再構築の残りの部分は自分達でやるから村上さんはもう手伝わなくても良いです"と言われ、その後に社長から"人事考課制度を再構築することが出来た"と聴いていたことです。

昨日のご相談は「業績は回復しつつあり人事考課制度も再構築できたが、社内体制(風土や組織文化など)」が改善されない為に色々と不具合が生じており、今後のことを考えると非常な不安を覚えるので何とか対策を講じていきたい」というご相談でした。要するに、自分達で創り上げた人事考課制度が成果を挙げていないのでなんとかしてくれ!!という意味でした。そこで私がお伝えしたのは「人事考課制度を模倣して創ることは可能なことです。しかし、その制度に"魂"を入れなければ"仏を創って魂入れず"となってしまいます。制度上では各社大差がなくても、各社の社風・文化・基本理念は色々と違いがありますから、それらを読み解きながら魂を入れた制度を創り上げることが大切です。その為には人事考課制度だけではなく、会社組織内部の色々な要素が影響し合っている現状分析とそれを踏まえた人事考課制度を構築することが必要です。そのお手伝いであれば社外の私でも出来るかもしれません」とお伝えしました。

ここで私が思い出したことは、「組織はシンプル(基礎的)な原則で成り立っており、各要素はその原則を元にバランスを保ちながら存在している」という"制約条件の理論"と、"建物を建てるときには基礎工事(土台)をシッカリと造っておかなければ、立派な建物を創ることはできない"という実父から学んだ"考え方"です。

人事考課制度だけを再構築して営業に力を入れても、それらの土台(基礎)となるモノがシッカリしていなければ、従業員間で不当な競争が発生したり、社内情報(報告・連絡・相談・指示・命令ほか)に偏りが生じて組織内部にヒズミが発生してしまいます。そのために人事考課制度を再構築するに際して企業としてのモノの考え方(企業理念等)も再考し、また組織体制も再検討することが必要となります。

実は2~3年前に私が人事考課制度の再構築をお手伝いしていた頃は、まだその入門編の技術的なレベルを教授した段階でした。この段階で企業側が依頼事項を断って来ましたから一番大切な部分をレクチャーしたり検討したりしていなかったのです。しかし、会社はその技術的なことで満足してしまい後は自分達だけで決めていきましたから、基礎的な事項の再確認が全く出来あがっていないようなのです。

これは私流の考え方かもしれませんが「組織は人間の体と同じようなもので、心臓(人事考課)というパーツの具合が悪いから心臓だけを取り替えれば調子が良くなるというものではない。組織が存在していると言うことは、調子の悪い心臓と他の内臓・脳・神経器官はバランスを保ちながら存在しているというコトなのだから、迂闊に調子の悪い心臓だけを取り替えると他の臓器とのバランスが崩れてしまうのでカラダ全体の調子が変になってしまう。従って、基礎体力や他の臓器とのバランスにも配慮しながら、必要であれば他の臓器や基礎体力を先に治してから心臓という部品を取り替えることが必要ではないか?」と体験上から考えています(但し、タイムリミット(基礎体力)を考えながらですが・・・)。

こんなお話しを社長とした結果、組織再活性化(私の言う"リストラ")を含めた人事考課制度のやり直しをすることになりました。しかし、この場合、中途半端に、しかも数年前に人事考課制度を一新したばかりですから、少々手こずることが予測されます(新しい人事考課制度が自分にとって有利な従業員からの抵抗が予測される)。そこで私としては、丁度いま話題になっている稲盛和夫氏の書籍「京セラ・フィロソフィ」を副教材として使いながら今回のご依頼は進めていく予定です。昔しはPFドラッカーや松下幸之助翁の書籍を副教材として利用していましたが、どうも言葉や事例が古すぎるようなので、今回からは京セラ・フィロソフィという書籍を使ってみることにしました。