会社組織の脱皮

今春以来、ある会社の組織創りのお手伝いをしています。従業員数は約80名程度の会社です。

この会社で、今日は「今のままでは懲戒処分の対象になる可能性がある」という警告書を7人分作成しました。事由は、(a)業務命令に従わない、(b)部下が働きにくい職場環境を責任者が創り出してしまっている(疑似パワハラ)、(c)部下が会社方針に従うように指導・教育していない、(d)果たすべき役割を全うしていない等々でした。

創業以来この会社は仲間意識が強く、それ故に成長することができていました。しかし、業種によって限界となる規模は違いますが、ある規模以上になると「仲間意識」で会社を運営することが難しくなり、組織として会社を運営する必要性が出てきます。そして、このとき意外に弊害をもたらすのが、かつての仲間です。

本日を警告書を振り返ってみると、古参従業員に対する警告書が多かったような気がします。会社の成長=規模の拡大と伴に、また企業環境の変化と伴に、自らを変容させることができず無意識のうちに過去のやり方に固執してしまう結果、会社の成長から取り残されてしまい、気付いたときには「問題社員」となってしまっているのです(問題なのは本人にその意識がなく、得てして昇進して上役になり権限をもっていることです)。このようなことは、成長を続ける会社でよくあることです。・・・因みに古い格言に「若き者には権限を与えよ。年老いた者には"禄(給与・賞与)"を与えよ」とあります。

ですから、私は「会社は成長と共に、脱皮が必要な時期があります。"会社が脱皮する"とは"従来とは違う考え方・やり方で諸事を行うようになる"ということです」と警告するようにしています。そしてこの時を迎えた会社が、従来のやり方に固執して会社の新しい方針に従えなくなった従業員を辞めさせることがよくありますが、私は「従業員は会社の財産です。まずはリベンジするチャンスを与えましょう。そして、それでも駄目な場合は本人とよく話し合いを行い、両者にとって最も円満な方法を模索することが大切です。辞めさせることはいつでもできますが、一度辞めさせると元には戻せなくなります」とお話しさせて頂いています。

その結果、この会社では、7名の古参従業員に警告書(イエローカード)を出し、更生する猶予期間として1カ月間を与えることにしました。

一般的には社長が脱皮の必要性に気づくのが一番難しいのですが、ある事件が今春あったため、この会社の社長はその必要性(仲良し集団から会社組織への脱皮)に気づかれ、春から初夏にかけては現場の実態を徹底して調べ、また会社の将来のことを考えられていました。こういった一連の流れの中での警告書発行ですから、この会社の脱皮も大きな山場を迎えたといえます。