普及しない電子申請

先日、あるセミナーで「確定申告等に関する電子申請の利用率と比べると労働保険関係の手続きに関する電子申請の利用率が極めて低いから、もっと電子申請を利用してもらいたい」という話しがありました。

私は電子申請が開始されてから興味本位で直ちにそれを利用し始めましたが、過去の約5年間を振り返るとトラブルの連続でした。

最近あった事例としては、年金事務センターに送信した社会保険の資格取得届の件があります。この手続きは2月初に電子申請したのですが、その内容で「吉村の吉は、キチではなく、下が長いヨシではないでしょうか? 確認してください」という電話があったので本人に確認した処、まさしくその通りだったので当日中に回答しました。そうした処、電子申請の返信として「書面を返送します」というメールが届きました。私は、「どんな内容の返信があるのか分からないが、同じ広島市内だし、まあ2日~3日間、待てば郵便が届くだろう」と安易に構えていまし。それが、待てど暮らせど返送されて来ないのです。

書面が返送されてきたのは連絡があってから「1週間後」でした。年金事務センターの内部事情もあるのでしょうが、こんなことをしていては普及する筈がありません。同じ広島市内ですから、センター内手続きで1日を必要としても、2~3日もあれば郵送されてきてしかるべきものなのではないでしょうか? 電子申請の謳い文句の一つにある「手続きが早い」は嘘なのでしょうか? 電子申請のプログラムを云々と検討することも大切なことだとは思いますが、年金事務センターの内部手続きを再検討する必要があるのではないでしょうか?

その他、過去のトラブルを挙げだせばきりがありませんが、電子申請プログラムの手続きが複雑すぎて、一般業務用ソフトを利用しなければ手続きにかなりの時間がかかってしまうことが普及しない一番の事由のようだと私は思います。先日も、ある建設業の総務担当者が「自社には入札用の認証IDがあるから、それを利用して電子申請プログラムを使ってみたが、電子申請プログラムはステップが多すぎ複雑なため、処理に時間がかかってしまい、とても利用できるものではない」と言われていました。

また、電子申請の手続きは"夜間""休日"でも行えると謳われていまし、私も電子申請は主に夜間または休日を利用して一括送信処理しています。しかし、このときトラブルが発生すると電子申請相談センターは電話が不通になっているので翌日または休日明けまで処理を保留せざるを得なくなります。特に、電子申請はプログラムが知らない間に更新されていますから、過去においてこんな体験は数えきれない位にしました。こんな運営をしていて「"休日"や"夜間"でも送信できます」と謳うのは少々誇大宣伝の傾向が覗えるのではないでしょうか?

ただし、ハローワークの手続きは徐々にですが改善されつつあるようです。先日は、窓口に提出すると処理するのに約2週間を必要としていた高年齢雇用継続基本給付金の支給申請手続きが「3日」で処理が終わり返信されてきたのにはビックリ(従来は電子申請で行うと約1週間)しました。