経営理念を決める

経営理念を決めたので、それを従業員に発表する場で私に挨拶して貰いたいというご依頼がありました。普段から良く知っている会社なので、喜んで引き受けたことは言うまでもないことです。

しかし、経営理念を決める過程を全く手伝わなかった(多少の助言はしましたが・・・)ので、どんな経営理念なのか当日まで分かりませんでした。

そして発表会の当日に、その経営理念を読んで祝辞を述べたのですが、「祝辞」というより「叱咤激励の弁」となってしまいました。しかも予定時間を大幅に超過してしまい、次に祝辞を述べる人の時間がなくなってしまいました(大失敗です!!)。

私が祝辞の冒頭で「これは社長がつくったのですか? それとも社長と幹部とでつくったのですか? あるいは従業員から選出された委員会がつくったものですか?」と尋ねた処、社長が創り、今日初めて従業員公表するものだということでした("参加巻込みの原則"を無視したトップダウン方式)

。そして次に私の口から出た言葉は「それならば、いままで創るのに要した努力の十倍の努力をして会社に浸透させることが必要ですネ!! 今日は経営理念が出来上がったお祝いの場ではなく、経営理念をこれから実行していく決起大会ですね!! どんなに見事な経営理念を創っても額に入れて飾っているだけでは意味がありません。経営理念は実行して初めて価値がでるものです。そして実行し続けるためには、経営理念を会社内に浸透させることが必要です」という厳しいものでした。

しかし、この社長さんの素晴らしい処は、経営理念を従業員に発表するために、全ての支店を臨時休業にしてパートさん達まで発表の場に出席させていたことでした。そのせいか、各自から感想(決意表明)を言ってもらうときに、数名のパートさんから「今日のお話しを聴いて、いままで私は"パートだから・・・"と思って逃げていましたが、これからは会社の一員として頑張っていきます」という言葉が出ました。これは会社が一つの方向に向きつつあるということですから、これだけでも発表会を設けた価値があったと私は思いました。