人事評価制度の構築

現在私は、2つの会社が人事評価制度を構築するのをお手伝いしています。ご依頼のあった当初は2社とも「人事評価表をより良いものにしたい」というご依頼だけでした。ここで問題なのは「より良いもの」という言葉の意味です。

いろいろなお話しを聞かせて頂き、両社とも「”より良いモノ”とは、”評価して昇給や賞与に反映させるだけ”ではなく、それがその後の従業員の”行動に反映されて業績が改善されていくモノ”」という意味であることが理解できました。

次に、従来の評価表項目を教えて頂いた処、両者とも”誠実性””勤勉性””努力度”など従業員さんの人格的評価項目が主流になっていることが分かりました。20年前までの人事考課表はこれでも良かったのですが、今は時代が変わり従業員さんの感性も会社が置かれている状況も20年前とは違います。

そのため私は「各従業員さんの基礎的能力(個人的資質)の評価も大切なことですが、その従業員さんが職責上で果たすべき役割を果たしているか否か、また果たしている役割は会社が期待する水準・レベルを満たしているか否かを具体的に分り易く評価すべきではないでしょうか?」と提案した処、2社とも同意して頂けました。

そして今は、会社内における各自の役割分担表を会社の人と一緒に創りつつある(明確にする)段階ですが、この状況で両者とも従業員教育に関しての計画が無いことが分かりました。現在の従業員さんの資質は20年前のそれとは異なり、”先輩たちのやることを見様見真似で覚えろ”式は通用しません。2社とも色々なセミナーや講習会に従業員さんを参加させていましたが、それらは散発的であり計画性がなく、またその後のフォローも行われていない状況であることが分かりました。そのため、人事評価制度を再構築する過程で各職位の”役割分担表”を作成し、それに伴って”教育訓練予定表”も創り始めています。

基本的に、学校の先生が教えていないことをテストに出すことはありません。昔の会社では、企業の暗黙知(教えたり明文化されていない知恵やルール等)や仕事のやり方を”先輩達のやることを見て覚えろ”と指示していましたが、現代の従業員さん達にはそれでは通じません。山本五十六翁の「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は育たない」という有名な言葉が教えるように、まずは”教えること(やって見せ、言って聞かせること)”が必要です。そのうえで”させて”みて、”褒めてやる(=評価する)”ことが大切です。

その為、人事評価をするには”役割分担”とそれに伴い必要となる”教育訓練計画”が必要になると私は考えています。

しかし、私にとって、この作業も労働保険年度更新や社会保険算定基礎届の時期に重なるとかなりシンドイことになります。