会社が従業員に交付する労働条件通知書の「賃金」欄の3.「所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率」について、私は従来は「就業規則の定めに従う」としていました。しかし、労働基準監督署の指導調査等で「時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増率を具体的に記載してください」という指導を受けたので、「時間外労働125%、法定休日労働135%、深夜労働25%」と記載するようにしていました。
しかし、最近出版される労働関係の書籍に記載されている記載事例を見ると、私と同様のものもありますが、中には「時間外労働25%、法定休日労働35%、深夜労働25%」と記載され時間外労働と法定休日労働に「100」の位が記載されていないものが散見されるので、念のために広島中央労働基準監督署の労働基準監督官に尋ねに行きました。
労働基準監督官の回答は「どっちでも良いですヨ!! 」と呆気なかったです。
しかし、労働基準監督署の相談員と話した結果は、「労働条件通知書では、飽くまでも”割増賃金率”(割増する率)となっているから、100の位は記載せずに、法定時間外労働割増率25%、法定内所定時間外労働割増率なし、法定休日労働割増率35%、所定休日労働割増率25%、深夜労働割増率25%と丁寧に記載しておいた方が、万が一、裁判事件となった場合には良いのではないか!! 」ということになり、今後はそのようにすることにしました。
私が社会保険労務士として開業した十数年前には、「労働条件通知書ってナニ?」と訊かれて、その普及に努めなければならなかったのですが、今では労働条件通知書を従業員に交付することは当たり前のことになり、次第にその内容が問われるようになりつつあります。そして裁判等においても証拠として採用されることが多くなっています。その為、労働条件通知書を作成する際には、その内容をよく吟味・確認せざるを得なくなっています。そして更に、労働条件通知書を会社が交付しても従業員が裁判等の際に「受領していない」と主張するケースもあるので、私は労働条件通知書の下部に従業員が受取った際に署名と日付を記入して貰うようにしています(ほとんど契約書と変わらない内容)。
因みに、つい先日体験した事件では、弁護士が勧める雇用契約書と一緒に労働法に準拠した労働条件通知書も交付することにしました。正に十数年前のアメリカ(訴訟天国)の状態に日本も陥っているようです。
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