業績を伸ばす(又は、維持する)ために人材を確保したいが、求人しても応募がない!!と言われる企業が増えています。特に、大手企業が人手不足を補うために好条件で引き抜きを図っていますから、中堅・中小企業はたまったものではありません。サービス産業等では人員確保が出来ない為に一部店舗を閉鎖せざるを得ない企業まで出始めています。
しかし、このような状況のときに注意しなければならないことは、性急になりすぎて応募者の人柄(人格)を検討せずに採用を決定してしまう愚行です。「人を雇えば"手"だけでなく"口"も入ってくる」と昔から言われています。たま、有名なPFドラッカー翁も「能力ではなく人柄(真摯であるか否か)を検討しなさい。能力は後から会社が教育して身につけさせることもできるが人柄を変えさせることはではない」と言われていました。
ましてや今、政府は「働き方改革」と称して有期契約者と正社員の均衡、労働条件と生産性の向上とを求めています。そして更に、数年前に労働契約法が施行されてからは「解雇のハードルは非常に高く」なってています。また、労働条件とは必ずしも賃金や労働時間だけを意味するものでは無いことに留意すべきです。
その為、自社に不適格と考えられる応募者は採用しないことが一番大切なのですが、どうしても今のような状況となってしまうと、適格性を判断せず性急に人を雇入れてしまいアトで「しまっタ!! 」と嘆くことになるのも多いようです。
大企業であれば、単なる作業員を有期契約として社員と区別することはできますが、中堅・中小企業では中々それは難しく、作業員にも社員としての役割を期待し、また社員にも作業員としての役割を期待せざるを得ないのが実情ではないでしょうか?
この場合に大切なことは、できれば雇入れ後14日以内に仕事を通じて本人の人柄を判断し、自社には不向き・不適切であると判断した場合には、率直に本人と話しを行い、ミスマッチとして退職して貰う(但し、解雇する場合には、客観的に合理的な理由があり、常識としてやむを得ないと判断できるような材料が必要です。また入社後間もない為に能力不足を原因とすることは難しい場合がほとんどです)ことが肝要と私は考えます。
そして、どうしても14日以内に踏ん切りがつかない場合は、試用期間中の出来る限り早い時期に率直な話し合いを行うことが必要です。入社後14日以内であれば解雇予告手当は支払う必要はありませんが、15日以上経過していると解雇予告手当は支払う必要が生じます(自己都合として退職しない限りは)。
この14日という期限は「アッ!!」というまに到来します。入社後間もないということでチヤホヤするのではなく、昔しから「鉄は熱いうちに打て」と言いますから、最初に厳しく指導・訓練し、それを通じて本人の人柄を出来る限り早くに把握することが必要と私は考えます。
不向き・不適切な環境でお互いが我慢して永く関係を保つよりも、このような場合には早々に転職してもらい本人の適性が発揮できる職に従事して貰う方が、双方の為にも、また社会の為にも良いことだと私は思います。
なお、会社によっては、入社後1週間、1ヵ月、2ヶ月・・・と当分の間は所属長から本人に関する報告書を提出させ、本人の適性・能力・人柄等を判断している企業もあります。