広島県では、建設業者に対して「低入札価格調査対象工事における労務監査事業」を開始しています。公共事業の入札に際して、広島県が想定していた価格の一定率以上を下回る価格で落札した建設業者が、社会保険未加入あるいは労基法違反などにより労務費を必要以上に削減した価格で落札していないか?を調査するものです。もし不合格となると入札できなくなると聞いています。
この労務監査事業は広島県社会保険労務士会が受託し、労務監査員となった社会保険労務士が代行しています。公平/公正な競争を促進させ、働き方改革の基礎を築くためには当然の事業だと私は考えます。また、広島県社会保険労務士会では任意事業として労務監査の評価基準を統一すべく打ち合わせを繰り返してきました。そして、広島県では、この事業を建設業者だけでなく、広島県に物品を納品する業者やビル/施設管理など役務(サービス)の提供を行う業者に対しても広げていく方針だと聞いています。
私の顧問先にも他社から法外な価格競争を仕掛けられて数年苦戦している企業が数社あり、また国が労基署調査を民間に外注すること(労基署調査を民間に代行させる)を検討している状況ですから、私的には大歓迎なのですが、調査するに際しての準備が大変です。
因みに、8月初旬に私はその労務監査の為、ある企業を訪問することになりました。初めての企業に突然に電話し、日程を決め、準備すべき必要書類を事前に連絡し・・・労働基準監督官の心理がよく分かります。しかも、その企業は広島市から自家用車で高速道路を使用して片道約2時間かかる所にありますから往復するのが大変です。既に経験した社労士から聴いた処によると、労務監査の為には現地で5~6時間は必要ということでしたから、弁当持参で行くことにします(往復と調査とを合わせると10時間前後は覚悟する必要がある為、猛暑の中で私の体力と気力が続くか否か不安を残す処です)。
私は従来から新規顧問契約先に対して任意に労務監査を行い、不適格事項があれば優先順位をつけて段階的に直してもらうことで、次第により良い会社となって頂く為の事前準備期間としていました。しかし、新規顧問先に対して任意の労務監査をし段階的に整備していくのとは違い、一回の強制的調査で白か黒かを判定する訳ですから、しかも対象となる企業は10名未満の企業が多い(労働諸法のことを余り詳しく知らない場合が多い)ようなので心してかかる必要があるようです。