久しぶりに認定支援機関としての研修に参加して来ました。
研修は「ローカルベンチマーク(ロカベン)を活用した企業支援の進め方<事業性評価融資>」というタイトルで、元三菱UFJ銀行員を講師として2日間の研修で、ほとんどの参加者が税理士さんや中小企業診断士の人達でした。
「何で社会保険労務士がこの研修会に居るの?」という素朴な疑問を抱いた参加者も多かったようですが、私は若い頃に富士銀行虎ノ門支店に勤務したことがあり、現在は認定支援機関として企業活性化のお手伝いをしているからです。そして、この研修の内容(銀行内部の実態を説明)も理解することが出来ました。
タイトルから想像すると「地方の・・・」というイメージになりますが、
①企業と銀行との関係を円滑にするための手法をマスターする内容(経営状況の開示手法)でした。
②従来、銀行から企業に要求する経営指標は銀行によってその指標が異なっていましたが、実務で企業は複数の銀行から借入をしている場合が多いので、国がリーダーシップを発揮して、企業が銀行に資料(指標)を提出する際は統一化された指標・項目を提供すれば良いようにしてあります。
③そして、それら指標を作成する際には、決算書等の財務内容を開示するだけでなく、経営者の資質や事業の将来性(販売力・技術力ほか)等も評価/開示し、更には、既に国が準備しているビッグデータを作成者が利用できるように、ネット上で「RESAS」というシステムの運用を開始しているので、その利用促進を図る為の研修でした。
1999年に金融庁から金融検査マニュアルで債務者区分(正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)が公表されてからの銀行は「担保・保証に過度に依存する融資状況」でした。しかし、このままでは地方の老舗や新興企業が衰退し続けてしまうので、その後に「金融検査マニュアル<別冊>」を金融庁が公表して「その企業の事業性」も融資検討材料にすべく指導を開始したものの、それが銀行の末端(現場)まで浸透することはなく、現場では相変わらず「担保・保証に過度に依存する融資状況」が続いてきたようです。そこで、国としては銀行に融資を検討する際に「営業力・販売力・経営者能力・企業内部管理体制など」も考慮要素とさせる政策を本格化させた次第です。
私が驚嘆したのは、
(1)国としては地方経済を今以上に衰退させない為に、地方企業から支援要請を受けた銀行に対してかなり強力な圧力をかけていること(該当する企業でけでなく地域経済に及ぼす影響も考慮して銀行からの支援内容・方法を検討すべきであると国は指導しているようです)・・・ガイドラインとしているが強制力がある。
(2)財務諸表等の定量的な指標だけでなく、経営者の資質、事業の販売力や技術力、社内管理体制ほか定性的事項も指標として統一しようとしていること
(3)銀行員の各種事情により、銀行員の現場把握力が低下していること、また銀行が個別企業にコンサルティングを行うのは限界がある為、認定支援機関(特に税理士)にそれを代行させようとしていること
の3点です。
この研修で私は思わず昔し銀行の上司から「いいか!! 経営者の資質と事業の将来性を検討して融資の是非を判断するようにしろ! 担保や保証に頼って融資判断をするようでは銀行員とは呼べない! 」と教えて頂いたこと、また当時の支店長も上司も自分が正しいと判断した融資案件の場合は本部審査部や頭取に直談判に行っていたことを思い出しました。あの頃と比べると、銀行の体質も様変わりしたのでしょうネ!!
この研修会は、「アベノミクス3本の矢」のうちの1本である成長戦略の一翼「稼ぐ力」を担う研修であり、昔し私が銀行員だった頃の銀行と今の銀行とを比較しながら講師の話しを聴き、結構おもしろい研修でした。講習内容を私はまだ十分に消化していませんから、8月になったら講師資料と書籍、それにRESASを使用して、講習内容の理解を深めたいと思っています。ただし、実務上でこれが活用できれば良いのですが・・・。