久しぶりに労働局の「あっせん」に補佐人として参加しました。
相変わらず"あっせん委員"は1人だけでした。書記と事務局が各1名同席していましたが・・・。県の労働委員会が主催する"あっせん"は、複数名の"あっせん委員"が同席して客観的な"あっせん案"が提案できるようにしているのと比べると、労働局の"あっせん"で提案される"あっせん案(和解案)"に客観性が欠如することは言うまでもないことです。
過去、私が体験した労働局の「あっせん」で、"あっせん"が終了した約1か月後に当時の"あっせん委員"と路上で偶然に会った際に(広島市も狭い街ですから)、"あっせん委員(弁護士)"が私に「済みませんでした!! 私の判断ミスでした」と謝罪したときのことを思い出しました。何でも「会社側が提出した答弁書を読まず、労働者が口頭で主張することを鵜呑みにして、労働者が有する資格が会社に必要なため労働者が辞めたいのに会社が辞めさせてくれなかった」と"あっせん委員"が思い込んでしまったことが原因だったとのことでした。「いまさら詫びられても遅い」というのが私の本心でした。
また、別の事件では、"あっせん委員"が冒頭で会社に「これは完全に会社側が正しい!! 暴力事件まで社内で発生させたのは論外の話しだ!! 会社の人は忙しいだろうからもう帰って良いです。あとは私(あっせん委員)が労働者に言って聞かせます」と説明してくれたので安心していたら、数か月後に裁判所から書留郵便が届いた(労働者が提訴してきた)こともあります。
そして、ここ最近は労働審判などで解決パターンが出来上がりつつあるせいか、3か月・6か月・12か月分の賃金のいずれかを和解金として会社に支払わせること(解雇等の場合)で"あっせん(和解)"を成立させる傾向が顕著になっているようです。
これでは会社側はかないません!! どんなに会社が正当な理由かつ正しい手順を踏んでいても、訴訟事件となることを避ける為に会社側が"あっせん"で合意しようとした場合は3か月分は支払わさせられる訳ですから・・・。まあ会社側にとって、裁判となって費やされる労力・時間・費用のことを考えるとまだ安いものですが・・・。
しかし、"あっせん委員"が一人だけで、しかも短時間で結論を出すやり方では、客観性が確保されないので改めるべきだと私は考えます。
私は、企業に事前に「訴訟となったり、地域労組が介入してくることを避けるために、基本的には"あっせん案"で和解すること」を勧めていますが、これでは労働局の"あっせん"への参加を企業に勧めることは難しいと言わざるを得ません。