雇止め と 解雇

有期契約従業員さんとの雇用契約期間が満了したときに契約更新をせず退職して貰うときのことを「雇止め」といいます。

この退職に伴い雇用保険の資格喪失手続きを行うときに、契約していた期間の長さ他によって、ハローワークにおける退職事由の取扱いが微妙に違うので注意が必要です。微妙な違いが出てくるのは、契約期間が3年以上あった場合です。

その為、離職票の退職理由欄(右側)の「3.労働契約期間満了等によるもの」に「通算契約期間」「直前の契約更新時に雇止め通知の有無」「労働者から契約更新又は延長を希望する旨の申出の有無」等々、かなり細かく記載させられます。

例えば、1年単位の雇用契約を4回更新(5年間雇用)して、5回目の契約更新はしない(=今回の契約更新が最後)という告知/明示を4回目更新時に行わず雇止めした場合において、その従業員が明らかに契約更新を希望しない旨の意思表示をしていない場合は、ハローワークの手続上では「事業主都合による解雇」と同様の取扱いになります。そして、解雇扱いとなると、その会社は半年間は助成金が利用できなくなってしまいます。

そして、エッ!! と私が考えるのは、「3年以上」ということは「2年間の雇用契約が終了して3年目の契約更新を行うときに"これが最後の契約期間となること"を予告通知する必要がある」ということです。

私が体験した事例ですが、勤務態度不良の有期契約従業員がいる会社が、2回目の契約更新時(3年目の雇用契約期間開始の直前)に本人と面談をしました。その際に会社は、本人に厳重注意をしたうえで今後とも勤務態度が改められなければ3回目は契約を更新しない旨を口頭で伝えました。しかし、3回目の雇用契約書には「次回、契約は更新しない」と明記しませんでした(会社は勤務態度が改められることを期待して敢えて記載しなかった)。

そして3年目の雇用契約期間中に何度も指導教育したのですが、本人が勤務態度を改めないので、会社としては止む無く雇止めとすることにしました。そして3年目の雇用契約期間が終了する2ヶ月前に会社が本人に雇止めとする旨を伝えた処、本人は契約更新を希望してきました(勤務態度は相変わらず不良のまま)。

その結果、ハローワークの手続上では「事業主都合による退職」扱いとなり、助成金が半年間利用できなくなってしまいました。会社としては本人に更正する余地を残したつもりが仇になったのです。

要するに、ハローワークでは「3年以上雇用している場合は」と説明していますが、2年間雇用し3年目の入るときの雇用契約書(労働条件通知書)は特に注意する必要があるということです。