36協定の書式変更に伴う作成依頼の他に、年次有給休暇時季指定義務、長時間労働の通知義務と健康福祉確保措置義務、ハラスメント措置義務ほかの労働緒法令の改正により、就業規則変更のご依頼が昨年12月末以降は続いています。昨年12月28日に厚労省から通達がでましたので、私はお正月休みを返上して、昨年末までにご依頼があった先の就業規則変更(案)づくりに取り組んでいました。
ご依頼いただいた企業さまが戸惑われるのは、今までの法改正と異なり法改正への対策(程度)を企業が選択することができる為、また日本版同一労働同一賃金と各裁判判例の点も踏まえながら就業規則を変更しなければならないことです。その為、私の就業規則変更の手順も従来とはかなり異なっています。
私から就業規則のタタキ台を提案し、企業が選択できる選択肢を提案しながら実効性を確かめ、同時に法改正に伴う労務管理上の注意点を深堀・説明していきます。その為、従来の就業規則変更と比較すると時間がかかります。しかし、場数を踏むたびに私のスキルも向上したのか手際よくなってきましたし、心理的にもユトリが生まれ始めました。
直ぐにでも就業規則を変更する必要がある企業さま、暫くは現状の就業規則のママでも良い企業さまなど色々な場合があります。しかし私が感じることは、従来から労務管理がシッカリできていて慌てて就業規則を変更しなくても良い企業ほど早めに変更されることを希望される一方で、就業規則を一日も早く変更する必要性がある企業ほど労務管理に対する考え方を変える必要性を感じていない為か?、法改正の説明と就業規則変更の提案を行っても反応が鈍いという点です。法改正に伴い労務管理に対する考え方を変える必要が生じている状況であるにもかかわらず、決定権のある人達が自分の過去の成功体験に無意識のうちに拘り、その結果として法改正に対して全くの受身となり、遅々として進まないようです。対応が早かった企業さまでは、昨年秋口以降から「取締役と上級管理職を集めた研修」を始められていました。
今回の法改正は、大企業と中小企業とで対象とされる時期が異なるたけでなく、36協定の起算日や年次有給休暇の付与日によっても対象とされ始める時期が異なります。そして、特に日本版同一労働同一賃金、長時間労働禁止義務並びに割増率のUP等に関しては、施行時期にまだユトリがあるようですが、これらは「すでに起こった未来」であり「受動的に変化を受け入れようとするよりも、変革の能動者たらんとする方が、激変から逃れることができる」という点を考えると、早めに企業として対応策(特に労務管理に対する考え方を変える)を講じ始めた方が企業活動にとって望ましい結果となると私は考えています。
なお、36協定の新書式に関して細かい点を別にして特に注意すべき業種は、副業として派遣業を営む企業であることも分かりました。