長時間労働の通知義務

労働安全衛生法の改正により、80時間超の残業を行った従業員に対して、その旨を通知し、(本人が希望する場合は)医師による面談を受けさせなければならなくなりました。私は顧問契約先には今年2月頃からこの件について説明していましたが、今週になって顧問契約先以外の企業さまからこれに関するお問合せが急増しています。

一番多いのは、労働基準法の特例として1週44時間の労働時間まで認められている特例業種(卸問屋さま、飲食店さま、美容室さま他)の企業さまからのお問合せです。

労働安全衛生法によるチェックを行う際には「(実際に働いた総労働時間数)-(該当する期間の暦日数÷7日×40時間)」で計算します。しかし、これを説明すると給与計算時の残業時間数集計と混んがられるようです。

一般企業であれば、1週40時間が法定労働時間数ですから、給与計算時の残業時間数計算をすることで、ほぼ同時に労働安全衛生法の80時間超のチェックもできるのですが、1週44時間の特例業種では、給与計算時の残業時間数計算は1週44時間で行い、労働安全衛生法による通知義務のための時間外労働時間数を計算するときには1週40時間で計算しますから、給与計算の際の残業時間数で労働安全衛生法の通知義務の有無をチェックすることが出来ないのです。

そして、労働安全衛生法の時間集計の方が簡単なので、給与計算の残業時間数もそれと同じ方法では駄目なのか?と思われるようです。

その為、私は事例を使って両方の計算方法を説明して、もし労働安全衛生法の計算方法で給与計算時の残業を集計してしまうと未払い賃金が発生することを説明しています。

特例業種は規模が小さい企業さまが多いためか、法改正に関する情報量が少なく、この他にも年次有給休暇時季指定義務のこと、来年から改正法の対象となる労基法改正による長時間労働の禁止等もついでにご説明することが多く、結構手間がかかってしまいます。