職務要件記述書 と 人事評価制度

令和2年4月1日から施行(中小企業は1年遅れ)される日本版同一労働同一賃金に関する法律(パートタイマー有期雇用労働法)に対応しようとすると①職務要件記述書と②人事評価制度が必要不可欠です。

しかし、書籍やコンサルタントが解説する大企業向けの難しいモノを創る必要はありません。中堅・中小・零細企業では、自社の合ったオリジナルのモノを出来る限り簡単に分かり易く創れば良いと考えています。

私は、職務要件記述書と言うと何か難しいモノというイメージを与えるので、役割要件記述書(子供が"かくれんぼ"するときの役割分担をイメージして頂き、どの職位にいる人が何をしなければいけないかを記載したモノ)を創るお手伝いをさせて頂いています。日本版同一労働同一賃金を視野に入れた就業規則の変更等をしようとすると、中堅・中小企業ではどうしてもコレが必要となってしまうのです。ただし、事業規模及び雇用区分の複雑さに応じて、役割要件記述書の内容及び程度は調整して作成します。

そして、人事評価制度も難しいモノ・出来合いのモノを押し付けるのではなく、取締役の人達とコミュニケーションしていきながら、社内で暗黙知となっている評価基準を"見える化"していくことで人事評価制度を創りあげるお手伝いをさせて頂いています。ただし、出来上がった人事評価制度を元に、点数や計算式等で基本給等を決めてしまう方法は給与体系が硬直的になってしまうので避けています。例えば、人事評価はするけれども、その結果は給与には反映させず年功序列型の給与体系で結構うまくいっている企業さんもあります。

こんな役割要件記述書を創ったり、人事評価制度を創ったり、あるいは人事評価制度にメスを入れたりしながら日本版同一労働同一賃金への対応を進めて行きますから、泥臭く格好の良いものではありませんが、やり始めるとその効果は出るようです。クライアントになって頂いている企業さまでは、皆さん頭の中では分かっているけども、それをどのようにマトメて、どのように表現したらよいのか、その方法が分からず立ち竦んでいらっしゃる場合が多いようです。その結果、どちらかというと西洋医学による薬(直ぐに効き悪い処だけを直してしまうが弊害を余り考えない)ではなく漢方薬的(ジンワリと体質改善する)な役割を果たしているようです。