紛争の予防・対策と解決

私は、社会保険労務士の仕事は「紛争の予防・対策」にあると考えています。不幸にも裁判に至った場合は、弁護士に情報提供しながら解決に助力するようにしています。当然のことですが、「紛争の予防・対策」を提案する場合には、万が一、裁判となったときでも「負けない対策(勝つ対策ではありません)」を提案するように心がけています。

直近で体験した案件ですが、当初から弁護士さんが話し合いの前面に出ていたため、相手方は弁護士という資格に身構えてしまい、話し合いがコジレて、協調(双方の歩み寄りにより第三の途を探る)ではなく対立(どちらが正しいかを選択する二者択一の途)の関係で事態が進展し紛争化してしまった事案があります。このとき、弁護士さんは弁護士としての資格で話し合いに臨んだつもりはなかったそうですが、相手方はその職業を聴いて身構えてしまいました。私は、この間に弁護士さんを側面からサポートしていましたが、弁護士さんのお話しをお聴きしていると、職業柄の為か弁護士さんは「考え方」がどうしても「紛争化するのを予防する」ではなく「紛争となってしまった事案を解決する」という観点から問題解決を図ろうとされてしまう傾向が強いと感じました。私は、この事案が紛争化してしまったことは非常に遺憾に思います。

私は「水戸の御老公」や「長屋の御隠居さん」の役割を果たすつもりはありませんので、法律に従うべき処は例え依頼者でも従って頂くよう助言します。しかし、法律の観点から事案に臨むと同時に、「人としての道」を説き諸問題が上手くバランスし均衡が保てるような第三の道も模索します。このとき私は(私への依頼者は会社の場合がほとんどですから)客観性を保つために「古典の貞観政要」「PFドラッカー翁の書籍」と「稲盛和夫さまの書籍」を活用し、「時間を味方」につけて問題解決を図るようにしています。

そして、どうしても紛争となることが防げそうにない場合でも「あっせん」による和解をお勧めし、それも駄目で裁判に至った場合は弁護士さんに事案を引き継いでもらい、弁護士さんを側面からサポートしています。