評価することが大切 !!

業績に苦しむある会社の社長が経営セミナーに参加されたと聞いたので、私が「どうでしたか?」と尋ねた処、社長は「ああ~、いい話しが聞けた」と言われていました。しかし、2か月経っても3か月経ってもその会社では何も新しいコトは始まりません。

私も若い頃から父(会社の社長)に言われて父と一緒に商業界、船井総研、賃金コンサルタント他の色々なセミナーに参加していましたが、セミナーの内容が会社経営に反映されることは稀で、偶に実行されても長続きすることありませんでした。

この体験を通じて私は「教育したり、訓練したり、セミナーに参加する(される)ことは大切なことだけれども、それが会社でどのように反映(実行)されていくかを評価することが最も大切なことだ」と考えるようになりました。

特に、従業員が教育訓練を受けるときは、その後しばらくしてから評価することが非常に大切だと考えます。従業員は自らの意思で参加するのではなく会社に指示されて教育訓練を受ける場合が多いのですから、教育訓練の後でそれがどのように実務に反映され、どのような成果を生み出したかを評価することが非常に大切だと考えます。

評価されないから、どんなに良い話しをセミナー等で学習してきても、その内容を実行しようとすると従来の会社慣行に波紋が生じるために躊躇いを感じ、そのうちに内容を忘れてしまいます。その為、私は顧問契約先に「セミナーに参加され、その全部を習得しようとするのではなく、何か1つだけ講師から習得し、それを実行してください。そうすると講師の話しが真剣に聴けますよ」とお願いするようにしています。

さて、評価についてですが、良いことを会社(上司)から褒められると人間は「自分は(存在を)認められているのだ」と考えることができます。良しきにつけ悪しきにつけ評価(承認)がないと「自分(の存在)は無視されている」と感じてしまい、そのうちやる気がなくなってしまいます(マレに例外の人もいますが・・・)。

今の私は社会保険労務士となり、働き方改革が推進される中で、人事評価制度を創りたいというご相談を多々承っていますが、皆さん人事評価制度を創るときは熱心に創られますが、評価の対象期間中は日常業務に追われて人事評価制度のことを失念されている場合が多いようです。そして、期末にいきなり評価項目に基づいて評価されようとするケースが多見されるようです。あえて評価期間を導入前期(再検討期)、評価期間、評価時と3分類すると、このやり方での力の入れ方は、60」、0」、40」と表現できるのではないでしょうか? 

しかし、私はこれでは評価制度が上手く機能することは稀だと思います。本当は40」(創る(再検討)ことに力を入れる)、30」(非評価者を観察し、指導・育成することに力を入れる)、30」(における記録をマトメて評価し、本人に結果をフィードバックさせ、モチベーションUPを図る)ではないかと考えています。

そして更に、翌年も同じ評価項目を無条件で使おうとされる会社さまも多いのですが、会社の目標と対策(計画)は年ごとに変わり、従業員が行うべきこととその内容も年ごとに違うことがありますから、評価項目も毎年予め再検討することが必要だと思います。

①「正しい評価制度を創ろうとすることよりも、評価制度があることが正しい」

②「評価項目は会社又は部門の目標及び対策(計画)とリンクしているモノ」

③「評価制度は対象期間中の評価者の対応が非常に大切」

④「評価結果を通じてモチベーションUPを図ることが大切」

と私は考えています。

そして、労働組合だけでなく政府主導の賃上げ圧力が強まる昨今の状況の中で、将来に禍根を残さない賃上げをするためには評価にもとづく賃上げをすることが必要と考えています。

また、古い格言ですが海軍大将の山本五十六翁も「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は育たじ」と言われています。