コロナに罹患した従業員が、コロナからは回復したものの1週間程度出勤した後に「適応障害」と診断され休業させることを余儀なくされた会社から相談がありました。コロナ治癒後に適応障害となられたご相談が私にあったのは3人目です。マスコミで報道されたように、コロナ治癒後に適応障害と診断されるケースは増えているようです。
このような場合、私はコロナ罹患と適応障害の因果関係がよく分かってなく、また本人が短期間出勤した間にハラスメント行為があった可能性もあるので、その可能性を簡易に調べる様にしています。そして、今回の件を調べた処、本人もハラスメントはなかったと証言しハラスメント行為は無かったことが分かりました。
この会社は、「適応障害」に限らず精神疾患に罹患した従業員への対応は未経験だった為、適応障害と診断された直後に私にご相談があり、私は診断書と就業規則とを見せて頂き、医師が診断書に「2か月間の療養を要す(≒労務提供不可)」と記載し、会社もそれを認めるのであれば休業させる必要があることをお伝えしました。特に、「適応障害」という診断は医師も明確に病状を特定することが難しい状態のときに診断されることが多く、また反復され長期間となる可能性があることもお伝えしました。そして、同時にその後にどのような推移が予想され、またそれに対して会社はどのように対処すべきかをご説明し、このような場合に私がいつもご紹介する高尾式メソッドも提供して、その後の推移を随時私に連絡して頂きたい旨をお伝えしていました。しかし、休業開始時にご相談はあったものの、その後はほとんど連絡が無い為、会社の方から本人に病状の確認をするようにお伝えしていました。
そして先日、最初の医師の診断書による労務提供不可の期限がくるので再度医師の診断書を提出するよう本人に求めた処、再び2か月間ほど労務提供不可の期間が延長された医師の診断書が提出されたので、その会社は慌てて私にご相談されたようでした。
そして分かったことは、私が「適応障害により療養を要す」という診断は反復される可能性があることや私が最初にお伝えした会社が対処すべきこと等をほとんど覚えてなく、ただ対処療法(当面発生しているコトにどのように対処したら良いか)だけを考えていらっしゃるようでした。そこで、参考となるであろう書籍の一部を見せながら最初の説明よりは具体的に会社がどのように対処したらよいか次のようなことをお話ししました。
①ご家族の協力を得ながら、本人の病状を把握(と回復)に努めること
②本人には最低でも月1回は連絡し、本人の話しを良く聴くこと
③本人の了解が得られれば、本人同席のもとに医師から直接病状の説明を聞くのが良いが、医師の話しを正しく理解するのは難しく、また医師も個人情報保護の観点からそれを嫌がる傾向が今でもあること。その為、会社が知りたいことを書面にし、本人から医師に提出させて医師に記入してもらうのが良いであろうこと
④本人の病状の程度にもよるが、本人に出来る限り規則正しい生活を過ごすように勧めること
そして、ある程度は理解された感触があったので私も少し安心しましたが、ご相談に来られた会社の人が酷くヤツレて見えたので、私は「貴殿が適応障害ほかの精神疾患とならないように注意してください」とお伝えした。そうした処、その人は「少人数でやっているので、1人が休業していると他の従業員の仕事量が増え、他の従業員のコトも心配です」と言われていましたので、私は当分の間はこの会社に従来にも増して諸事配慮することにしました。