証人尋問

 私が裁判の証人となるのは、これで3回目です。

 今回は5年位前に労務管理について相談して頂いていた企業のご依頼で民事裁判の証人として裁判所(地裁)に出廷しました。私が関係していた最初の裁判は既に結審され、今回は別事件(案件)で裁判に至ったとのことでした。証人になることを断ることもできたのですが、昔しお世話になったご恩返しの意味を含めて証人となることを承諾しました。しかし、昔しのコトを証言する訳ですから、記憶だけに頼る訳にはいかず保管している資料を事前に読み直して整理すのが大変でした。

  私の職業柄、会社と従業員の個別労働紛争を解決するお手伝いをすることは多いのですが、裁判にまで発展することは稀で、さらに証人として招聘されることは極めて稀です。今までに未払賃金・雇止め・解雇・パワハラ・セクハラ等々の紛争解決のお手伝いをしてきましたが、大半が裁判までには至らず双方の和解(あっせん等の制度利用を含む)で解決していました。しかし、中にはあっせん不成立で裁判に至った案件もありました。それらの中には、顧問契約している社会保険労務士がいるのにその社会保険労務士が紛争解決に関与しようとしない為に困った会社からのご依頼も数社ありました。

 私は社会保険労務士ですから会社でトラブルが発生するとそれが紛争化することを極力防止するよう努め、トラブルが紛争になると極力和解するように勧め、紛争が裁判事件にまで発展すると弁護士さんが円滑に答弁書等が作成できるよう会社と弁護士さんとの間に立ち仲介役を果たすようにしています。しかし、今回の会社は弁護士さん経由でご相談頂いた会社で、その会社では労務管理以外に社内で色々なトラブルが既に発生していました。その状況の中で、従来契約していた社会保険労務士が契約解除し、また労働諸法の法改正が著しく弁護士さんだけではとても手が回らない為、税理士・行政書士ほかと連携してトラブルの解決を図ろうとした案件でした。

 証人尋問の場では原告・被告双方の弁護士と裁判官から尋問があり、それになんとか答えることができたのですが、双方の弁護士ともにマスクをしていたので声が籠り・小さくてよほど注意していなければ尋問が聞き取れないのに往生しました。私を証人として招聘した側の弁護士さんとは事前に打ち合わせしていましたが、相手方弁護士からの尋問は予期せぬ事柄に関する尋問や私を感情的にさせるような尋問があるため要注意でした。

 なお、証人になると日当と交通費を請求できるのですが、私の事務所から裁判所までは徒歩5分だし、昔しお世話になった会社へのご恩返しだから、日当・交通費ともに辞退しました。