労働基準監督署の調査

 労働基準監督署の調査が無事に終わりました。労働基準監督官からは「ここまで管理されているのであれば問題ありません」と評価して頂きました。当然のことですが、是正命令や指導はありませんでした。

 この会社は、私が給与計算を代行し、普段から労務管理の相談も対応して実質的に人事労務管理責任者の代行(P.F.ドラッガー翁の言われる「P.L.O.」)をしている会社さまですし、調査当日前に念のために調査対象期間のデータ等を全てチェック(村上流労務監査)し直していましたから、労働基準監督官からの評価は当たり前といえばそれまでのことです。また、調査提出資料として労働基準監督署から依頼があった資料以外として年次有給休暇管理簿も持参し、その運用方法を説明した処、労働基準監督官は興味深そうに聞かれていました。

 そして、労働基準法に関する調査が終わった後で、労働基準監督官が日本版同一労働同一賃金に関する調査票への協力を依頼してきましたので快く応じましたが、この点でも問題は無いと判断して頂けました。この調査票で私が注目したのは「基本給」という項目で正社員と有期雇用労働者の均衡(説明責任)という点にも触れていることでした。

 一連の調査が予定時間よりも早く終わり労働基準監督官にもユトリがある様子でしたから、私から労働基準監督官への質問で「日本版同一労働同一賃金に関する法律はパート・有期雇用労働法であり、その法律は労働基準監督署ではなく労働局機会均等室が担当している筈だが、なぜ労働基準監督官が日本版同一労働同一賃金に関する調査票への協力依頼をするのですか?」と質問した処、「この調査票は労働基準監督署から労働局雇用環境均等室に回付され、その質問事項で日本版同一労働同一賃金に関しての疑惑がある場合は、後日に労働局雇用環境均等室が指導/調査を行うことになっています」という回答でした。ということは、今後の労働基準監督署調査の際には、予め「労働基準法」の観点からだけでなく「パート・有期雇用労働法の観点からも会社の実態を見直しておく必要がある」ということだと私は理解しました。

 私が社会保険労務士として開業した20年前頃の労働基準監督署調査と言えば「未払い残業代」が主たる調査対象でしたが、10年位前からは「長時間労働」が主たる調査対象となり、今回の調査では「最低賃金」「長時間労働」プラス「日本版同一労働同一賃金」と変わっていると思いしまた。