育児短時間制度 社会保険適用拡大 養育特例

 社会保険の加入者数が約80名の会社の総務担当者から、育児休業を今年4月で終了しその後は短時間勤務を希望する従業員さんについてご相談がありました。「該当者には今回育児休業が終了した子供の上に2人の幼い子供がいるので1日4時間(週5日)勤務を該当者は希望しているが、4時間の短時間勤務でも可能なのか?」というご相談が総務担当者からありました。

 その会社では過去に育児休業後の短時間勤務制度と養育特例とを利用した従業員が数名いますが、いずれも1日6時間勤務で、1日4時間勤務の希望が従業員から出るのは初めてのことなので総務担当者が私に確認された次第です。

 そこで私が会社の「育児介護に関する規則」を確認した処、規則には「(標準的な)労働時間数は6時間とする。ただし、本人から申出がある場合は本人と会社が話し合いを行い前記の時間以外とすることがある。」と規定されていました。その為、「1日4時間の勤務でも会社業務に支障がないのであれば本人の申出通りにするのが妥当でしょう」と私は回答しましたが、同時に社会保険の資格と養育特例とについて次のようなこともお伝えしました。

① 会社が1日4時間勤務(週20時間勤務)でも良いと認めるのであれば育児短時間勤務を利用できるが、1週30時間未満の勤務だから育児休業後は社会保険の資格を喪失すること。

② しかし、2024年10月から社会保険の適用が拡大される為、会社の人数規模から判断すると週20時間以上の人(その他にも条件はありますが)も社会保険に加入しなければならなくなること。

③ その為、育児休業後の4月から9月の間は社会保険被保険者としての資格はないが、同年10月から再び社会保険の資格を取得することになること。

④ ここで考えた方が良いのは育児休業後の「養育特例」であること。1日4時間の育児短時間勤務になると社会保険の資格を一度喪失するので「養育特例」は使えず、また10月から再び社会保険の資格を取得しても「養育特例」は使えないこと。

⑤ もし、育児休業後は1日6時間の短時間勤務になると社会保険に引き続き加入し続けることができ、3か月後に育児休業月額変更届手続きをすればその後は社会保険料が安くなること。

以上を会社の総務担当者に説明した処、担当者は

⑥ (無理でなければ)チョッと頑張って、今年9月までは1日6時間勤務(週30時間勤務)で社会保険の資格を有し続け、今年10月以降に1日4時間勤務になると養育特例を使うことが出来るようになるということですネ。

と回答されたので、

 私は「上のお子様のときに養育特例を既に利用されていますから養育特例のことは理解されていると思いますが、以上①から⑤のことを考え、ご夫婦でよく話し合いをしたうえで、会社に自分の意向を伝えるよう連絡されると良いと思います」とご説明しました。