キャリアアップ助成金の要件変更

 今年4月に有期雇用契約の従業員さんを正社員に転換させることを検討されている数社から、2023年11月29日(昨年)に要件が変更されたキャリアアップ助成金についてのお問い合わせがあったので労働局に変更内容の確認に行きました。どの問い合わせ企業さまも労働条件の整備がシッカリできている企業さまなので安心してご相談に対応することができます。この助成金の昨年の変更点は、

従来:6か月以上3年以内➡➡➡変更後:3年以内という制約が廃止

ただし、入社後5年以内の場合(中小企業の場合は80万円)と5年超(中小企業の場合は40万円)とでは助成金の金額が違うそうです。

従来:転換後6か月経過したら申請手続きを1回だけ➡➡➡変更後:転換後6か月経過後、転換後12か月経過後申請を(2回に分けて)行い、それぞれ申請後に上記金額の半額ずつが支給されるそうです。

 今年のご相談内容の特徴としては、人手不足と求人難のためか「短時間正社員制度の導入」や「短時間労働者労働時間延長コース」とキャリアアップ助成金の要件についてのご相談があったことです。

短時間正社員制度の導入」を行うと上記以外に(特別)加算40万円(中小企業の場合:従来は9.5万円)が1企業1回限りで支給されるようになったのには驚きました。

 労働局の職員さんから「2022年10月にも要件が変更されているので十分に注意するように!! 」と追加で助言して頂きました。その内容は「(正社員とは)"賞与又は退職金の制度"かつ"昇給"が適用されている者の限る」という内容であり、特に「昇給が就業規則の定め通りに運用されているか否か」を調べるとのことでした。この助言を聞いて、私は昨年申請した企業に関して労働局から助成金該当者でなくて良いから正社員で昇給している2~3人分の賃金台帳を提出するよう求められた理由が分かりました。そして、今後は労働条件を整備するだけではなくその後の運用も注意する必要があることが分かりました。

 キャリアアップ助成金は審査基準が厳しいから、利用される企業の労務管理と運用がシッカリできていないと不支給又は返金となるので注意することが必要です。コロナ蔓延防止のため一時的に雇用調整助成金の極端な要件緩和がなされた為か、法律を遵守した労働条件を整備することなく助成金を利用されようとするご相談が増えていますので、助成金を利用して頂く前に労務監査を行い労働条件の整備をする必要性が高まっているようです。