高齢者雇用の活用

 今年4月1日から労働条件通知書必要記載事項に関して労働基準法が改正がされたので、ある会社の有期雇用契約従業員さん達の労働条件通知書54名分を作り直しましたが、その際に高齢者雇用が非常に増えていることに気づきました。

 この会社に限らず中堅/中小企業で高齢者雇用が盛んになっているようです。70歳を超えたヒトを新たに雇い入れる企業さえあります。60歳だからと言って赤いチャンチャコを着て余生を過ごす時代は終わったようです。高齢になると頑固になり会社の新しい方針・やり方に従おうとしないヒトがいたり、年金だけでは生活できない為に働いているヒトも多いようですが、それまで培ってきた経験や智慧を活かし、生きがいを求めて心・技・体が健全なうちは社会に貢献しようとするヒトも増えています。また、社会体験を積んでいない若手を新たに雇入れて教育するよりも、苦いも辛いも社会体験を積み社会のことを理解できている高齢者を雇う方が早く会社に貢献してくれると考える企業も増えています。その為、人口が減少する中で高齢者比率が高まっている現状では、高齢者雇用の活用を真剣に考える必要があると考えます。

 従来から定年到達後の再雇用として高齢者の雇用をする企業はありました。大企業では将来を見据えて既にその雇用形態をパターン化しているようですが、中堅/中小企業におけるその労働条件は各個人に合わせバラバラの状態が多いようです。しかし、その人数が次第に増えるにつれ労働条件がバラバラの状態では労務管理が煩雑であり、中堅/中小企業では職務が限られているため定年前の職務と違う職務に従事してもらうコトが難しい場合が多く、更に日本版同一労働同一賃金が叫ばれるようになってからは予期せぬトラブルが発生することもあります。

 そこで当事務所では、ある程度パターン化した高齢者雇用労働条件のひな型をつくり、各社の実情に合わせてカスタマイズできるようにしました。ただし、正社員のような長期雇用を前提とした労働条件ではなく、あくまでも職務限定の有期(短期)雇用を前提にしたひな型です。

( 1 ) 最初に、該当者の過去の経験/実績を会社が評価して、基幹業務を担当させるのか? それとも補助的業務を担当させるかを会社が決めます。

( 2 ) どの程度の責任を負わせるのかるのか? を会社が決めます。

( 3 ) 本人との話し合いにより勤務時間数を決めます。

 高齢者を雇用する際の雇用区分としては8区分が考えられますが、余り複雑にならない様にひな型的パターンは3種類程度に絞っておいた方が望ましいのではないかと考えます。

 なお、これら高齢社員の人達も会社への貢献度を評価する人事評価の対象とし、運用時には「5年の無期転換ルールの適用」の有無を意識しておくことが大切です。

 少子高齢化が進行する中で高齢者が増加している現状を踏まえると、高齢者のモチベーションを高めて会社に貢献してもらえるようにすることが重要になっていますが、高齢者の心身の状態・技能・体力は個人差が大きく、また本人が働く動機も多様なため、高齢者の雇用とその管理がスムーズに行えるよう予め幾つかのひな型的パターンを用意していた方が会社組織の運営上は望ましいと考えます。