職務給を検討していると・・・

 当事務所は基本給を職務給とせず職務手当として支給することをお勧めしていますが、ご依頼者さまが希望されるの場合は職務給を検討します。そして、そのような希望をされる企業さまがシングルレートではなく重複型マルチレートの職務給を希望される場合が多いのが実態です。そして、このとき注意しなければならないことは、重複型マルチレートを採用して、年功的な運用をしたり職務遂行能力で評価し運用すると、結局は年功給や職能給と左程変わらないことになってしまうので、評価方法が非常に重要になるということです。

 職務と給与とを「シングルレート」で紐づけすると、昇格しない限り昇給しません。しかし、「重複型マルチレート」で紐づけすると昇格しなくても行動成果評価すれば昇給できるようになります。企業(特に中小企業)では職位(係長/課長/部長など)や職種を無暗に増やせませんから、重複型マルチレートを希望されるようです(参考までに職務給を重複型マルチレートで給与とリンクさせた賃金カーブ例(定型的業務と非定型的業務)を添付しています)。

 そして重複型マルチレートで紐づけしたとき私がマクロ化した評価/昇給集計表が大いに役立つようです。評価/昇給集計表に評価結果を入力してマクロを実行すると瞬時に該当する昇給額を表示してくれます。

 年功給的又は職能給的な昇給となることを防ぐ必要がある為、評価が非常に重要な役割を果たします。評価が能力評価とならないように注意し「行動」と「成果」で評価する必要があります。

 また、実態を踏まえて職務分析を行い職務記述書を作成しても、経営戦略が変わると職務記述書の内容を変えることが必要となります。しかし、中小/中堅企業にとってそれは超重荷となり職務記述書が実態に沿わない内容となってしまいます。その結果、私は職務記述書よりもザックリとした内容の役割要件記述書を創ることを就業規則変更の際にお勧めし、役割要件記述書の内容を踏まえて「行動」と「成果」で評価し、その評価結果を給与に反映させることをお勧めしています。