求人市場は正にレッドオーシャンとなっています。この状況下で、求人についてのご相談があったので助言しました。その会社はハローワーク、Indeed、エンゲージ他に求人票を出されていました。
<ステップ Ⅰ>
求人業務責任者(総務部長や社長)に「会社が求める人材とはどんな人材なのか? 」を教えて頂きました(ターゲットを絞り込む)。ただし、このとき私から「人財は見つけるものではなく育てるもの」「全てを求めると平均的な人材しか育たなくなること(山があれば谷もある)」という格言をお伝えしました。そして、応募者が無いときに「給与を上げざるを得ない」と安直に考える場合が多いのですが、給与は地域の相場を下回ってなければ良く、「お金(給与)で動く(応募してくる)人材は、お金で動くから、他社が高い給与で求人していると退職します」とお伝えしました。
<ステップ Ⅱ>
求人担当者の意識調査をしました。
(A) 求人申込み手続きをしたら終わり、
(B) 応募者があれば終わり、
(C) 人材を採用できたら終わり、
(D) 採用後3年間勤務し継続雇用が見込まれる状態となったら終わり
どの段階で求人担当者が自分の役割を果たしたと考えているかを確認し、「100人の応募」があることよりも「1人の採用者」があることが大切なのだから、最低でも(C)までが担当者の仕事であることをお伝えしました。
<ステップ Ⅲ>
直近1年~2年以内に入社した従業員さん達に
① この会社の求人票はどういった手順で見つけたか?
② 職探しをしているときに、どんな求職活動をしていたか?
③ この会社に応募しようと決める前に求人票のどの項目を検討したか?
④ 応募してみようと決めた理由はどんなことか?
⑤ 前職と比較して、この会社はどんな点が良いと思うか?
他のことを私がファシリテーター役を務めザックバランに話して貰いました。何故、私がファシリテーター役をするのかと言うと、社内の人だけだとポイントを聞き流してしまうからです。そうした処、求人票を創る側(会社)と応募し採用された人の目線が異なるコトが分かりました。そこで私は「求人プロジェクト」を創ることをお勧めしました。
<ステップ Ⅳ>
次に、求人競争に勝ち抜き人材を採用する為には、自社の強みを上手くアピールすることが必要であることを理解して頂きました。しかし「自社の強み」は日常の中に潜んでいるので、永年勤続している人達にとっては当たり前のことが多く、それが強みと認識されていない場合が多いのです。その為、まだ会社に余り染まってない人達に上記<ステップ Ⅲ>⑤「この会社はどんな点が良いと思うか」を話し合ってもらう訳です。
その上で、自社が求める人材に応募してもらうにはどんな方法・ツールを使い、どんな求職市場に求人票を出すべきか、求人票に記載すべき事項(特に"自社の強み")はどんなことか等を改めて検討する必要があることを理解して頂きました。
<ステップ Ⅴ>
以上のステップが済んだ後に、私が各種の地域賃金統計(全国平均値ではダメ)と複数社の求人票から地域の相場に当たりをつけ、求人票の給与を少しだけ値上げし既存の若手従業員の給与を少しだけ値上げすること、そして自社の強みをアピールすることをお勧めしました。そして更に今後の為に「会社の付加価値労働分配率」を計算すること、1人当たり付加価値(≒粗利益)が幾ら位であれば良いかを助言しました。
現在の求人市場はレッドオーシャンですから企業は企業間競争に打ち勝つ必要があります。しかし、中小企業の資金には限りがあるので給与を無暗に値上げする訳にはいきません。また、求職者はお金だけで動くものではありません。その結果、求人票を掲示して終わりと考えるのではなく、掲示した後の反応を分析し、求職者に「自社の強み」が正しく伝わっているか?を検討し続ける必要があると私は思います。