音信不通の社員 ( 行方不明 ? )

 社員から何の連絡もなく突然出社しなくなり、1週間経過したから退職手続きをやって貰いたいというご依頼がありました。

 私は、社員が欠勤し始めてから会社が社員にどのような方法で連絡をしていたのかを確認し、私の過去の体験から退職手続きを行うのはもう少し待つように助言しました。会社は毎日電話していたが本人が電話に出なかったということでした。

 私の過去の体験というのは、

① 1人で住んでいる社員が何らかの事由で「精神障害」に陥り、引きこもり状態となっていた案件が4件 (ご親族の協力を得て通院してもらいました)

② 天涯孤独の社員が急病にかかり、救急車で搬送され緊急手術をうけて入院していた案件が1件 (約3週間後に集中治療室から一般病棟に移った後で電話してきました。この時、手術の同意書を病院がどのようにして得たのか不明ですが、就労可能の診断書を本人が提出してきました)

③ 家族と同居していた社員が、「会社に行く」と言って自宅を出たあと約1か月間行方不明となっていた案件が1件(約1か月後、突然に帰宅したそうです)

④ 家族と同居していた社員が「駆け落ち」して行方不明になった案件が1件

⑤ 会社に辞めることを伝えず他社で働いていた案件が3件(退職届を郵送して返信してもらいました)

などです。

 最近は電話に発信者の名前が表示されますから、会社が電話しても本人が電話に出ないことが多々あります。その為、このような依頼がある場合、私は必ず本人が会社に届出ている住所に複数回(異なる時間帯)行くことにしています。会社の人が訪問しても本人が会おうとしないからです。遠方の場合は郵便物を発送します。ただし、その内の1件は、私が届出住所に行った処、そこが公園であったこともあります。

 このような場合、欠勤中の給与は当然に支給しませんが、会社が社会保険料の負担と欠員補充とを気にされ性急に手続きをされることがあります。しかし、性急に手続きをし後日本人が出社してきたときに困ることもママありますから、私としては約1か月程度は手続きを保留するよう相談者にお勧めし、私はその間に本人届出の住所に訪問するようにしています。その間の社会保険料と住民税は本人と話し合いで決めますが、最悪の場合は少額訴訟手続きを会社に行ってもらいます。

 また最近は、国がリ・スキリングを勧める中で転職をする従業員が増え、更には適応障害の状態に陥り無断欠勤する従業員も増えていますので、懲戒処分あるいは退職手続きをする際にも十分に注意することが必要な状況となっています。