事業再生 倒産 自主廃業 売却

 最近は、事業再生(危機的状況に陥った会社を活性化させること)のご相談が増えているようです。危機的状況に陥った原因は色々あるようですが、コロナ禍中に手持資金を使い果たし、コロナ後はコロナ特別融資の返済の為に汲々としている処へ、諸原材料費・光熱費他が著しく値上がりし、既存従業員さん達の給与を昇給させなければ退職し、求人しても応募がなく、結果として業績が著しく悪化したケースが多いようです。ただし、「危機的状況に陥った」というよりも「会社経営の意欲がなくなった」という表現の方が適切な場合もあります。

 私はバブル崩壊後(25年位前)に法的手続きを経て自分の会社を倒産させてしまいましたが、「恥をかき、義理をかき、汗をかく」ような苦い体験を他の人にして貰いたくないという思いから、過去には中小企業庁の認定支援機関となり事業再生に関する事柄を色々と学び、そしてそれを実務で実践してきました。その関係からか? いまでも事業再生に関するご相談が舞い込んできます。ご相談の中には、赤字であることに慣れてしまい自社が危機的状況であることを理解せず別件でご相談に来られた企業(茹でガエル状態)もありました。

 さて、事業再生の細かい点はさておいて、その基本は「ヒト・モノ・カネ・情報の使い方をそれまでとは変えるコトで事業を活性化させていくことになります。そして、銀行からの借入金がある場合は銀行に支援してもらうコトが必要となり、銀行を説得することが必要となるので会社のデュ-デリジェンス(D.D)を行い事業再生計画を作成し銀行に説明する場合もあります。

 しかし、経営者は無意識のうちに過去の延長線上でモノゴトを判断しますから「ヒト・モノ・カネ・情報の使い方をそれまでとは変えるコト」が一番難しいの実態です。そして更に困るのは、日本人の特徴として挙げられるコトですが、最終最後まで従来と同じやり方・考え方で突っ込んでしまい資金が枯渇し立往生してから初めて相談に来られる場合です。

 P.F.ドラッカー翁いわく「企業は変化適応業である」といいます。マーケットの変化に対応していくことが必要です。また、昔しから「降り止まぬ雨は無い」「雨が降れば傘をさせば良い」といいますから、マーケットの変化に対応できないのであれば事業を一時的に縮小するか、休止するか、最悪の場合は売却するしか無いと思います。そして、危機的状況に陥った際に一番注意すべきは手持資金(資金繰り)のコト、どんなに困っても銀行以外の街金融には手を出さないコトです。