労災手続きのご依頼は屡々あり、中国大連市に講師として招聘され日本の労災保険を解説したこともありますが、同じ日に2件の「休職後の復職」に関するご相談がありました。当事務所が労災手続きを代行してない2件の復職相談が同じ日にあったのは初めてのことです。案件を間違えないように注意する必要がありました。どちらも医師の診断書に「軽易な仕事なら就労可能」と記載されていました。休職に関して、当事務所は「休職を始めるときの判断」よりも「復職させるときの判断」の方が難しいと考えます。
復職を検討するときの注意点として、医師は「本人の希望」を参考にして「医学的見地」を基に診断書を発行することが多いため、会社の「業務的見地」から見るとまだ働けない状態でも「軽易な仕事なら就労可能」と書かれることがあります。これは、医師が「日常生活が一人で過ごせる程度に回復した」と判断している場合が多いようです(ケース・バイ・ケースですが)。
そのため、会社は医師と面談や書面で「本人がどんな作業をしていたか」をできるだけ正確に伝え、「業務的見地」を参考にした医師の意見を聞くことが必要です。医師の診断書は医学の専門家の意見に過ぎず、最終的な責任は会社にあります。
会社に不安がある場合、復職後は労働条件を一定期間変更し、リハビリ就業から始めることが有効と当事務所は考えています。本人の状態(身体だけでなく集中力や持続力など精神的な状態)を観察しながら、段階的に元の職務に復帰させることを推奨し、必要に応じて同居する親族のご意見も聴くようにお勧めしています。